この春、2つの講座が改訂リニューアルします /連載:ものづくり人のためのドラッカー[その8]

*2025年3月13日(木)
ひと雨ごとに暖かくなり、春の訪れを感じる今日この頃です。皆様いかがお過ごしでしょうか。
本日は、
- 2つの改訂講座
- 新シリーズ「ものづくり人のためのドラッカー」その8
について、ご案内いたします。ぜひ最後までご拝読いただければ幸いです。
この春、2つの講座が改訂リニューアルします


★高分子化学/高分子材料の基礎的な知識をマスターしよう
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高分子材料は、鉄鋼など金属材料と並んで重要な役割を社会で担っています。本講座では、重合の種類や構造など高分子化学の基礎をおさえ、高分子材料の理解につなげます。
★改訂のポイント
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JTEX化学系講座のひとつ『高分子材料入門』が、今春『高分子化学/高分子材料入門』としてリニューアルしました。化学プラントにおいて重視される「重合の種類とポリマーが生成する条件」を全面的に見直し、レポート回数を2回から3回に改めました。また、「環境に優しい高分子」にSDGsに係わる内容を追加しました。化学にかかわる業務に就かれる方に役立てていただくことを願っています。

★わたしたちの職場環境は、わたしたちがつくろう!
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本講座では、主にリーダーの方を対象に、安全衛生管理の基本を正しく理解することを目的としています。安全で働きやすく、快適な職場とは何か、自分たちで考えていきましょう。
★改訂のポイント
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ロングセラー講座「職場の安全衛生管理」はさまざまな職種の方にご受講いただいておりました。今回、2色刷りで全面的に見直しをし、「人は財産」という考え方や、「リスクアセスメント」などの新しい概念も取り入れています。工場長と若手リーダーの会話で読み進めていくテキストで、内容がすんなり理解できるように工夫をしました。3回の記述式レポートが学習の定着に役立ちます。

この機会にぜひ、リニューアルしたこの2講座をご活用ください。
新シリーズ「ものづくり人のためのドラッカー」
~イノベーションは天才のひらめきではなく、明日に向けた仕事である
著者 浅沼 宏和
“ものづくり人“とは、ものづくりに関わる、経営者、技術者・技能者、営業・管理部門までのすべての人を、そう呼んでいます。
この連載はドラッカーの11冊の著書からリベラルアーツとしてのドラッカーをまとめたものです。
どこかに、役に立つ一言が含まれていることと思います。
ぜひ、引き続きご愛読いただきたく、連載を開始いたします。
その8 二つのマーケティング

現在のように変化の激しい時代にあっては、マーケティングを「基本と応用」のような二つの意味でとらえる必要があるとドラッカーは指摘しています。
一つは、本来の意味でのマーケティング活動で、「商品・サービスを通じて顧客のニーズに価値を提供すること」です。
したがって、マーケティングは顧客の視点に立つことが重要です。「わが社の製品のための顧客」という考え方は「販売」であり、マーケティングではありません。
ドラッカーは「そのような観点に立つならば、当社の製品どころか、当社の事業すら存在しないも同然である。」と戒めています。
重要なのは、顧客の期待、行動、価値に目を向けることなのです。自社の事業や製品ありきの考え方から脱却し、顧客の視点に立つことが大切です。
二つ目に、イノベーションとしてのマーケティングが必要であるといいます。
ドラッカーのイノベーションとしてのマーケティングについて、米国のカーペット産業が復活した事例を挙げています。
米国のカーペット産業は1950年代には衰退しつつあったのですが、マーケティングのイノベーションによって業績を大きく回復させたのです。
カーペット産業の重要顧客はもちろん住宅の購入者です。顧客のニーズを調べたところ、彼らの多くはカーペットについては低コストであること、同時に住宅の住みごこちを期待していることがわかりました。
この結果から、床貼りカーペットこそがこうしたニーズに合致する数少ない販売方法であることに気が付きました。
また、顧客は一括払いの余裕はないが、ローンによる月々の返済額が多少増えることについてはそれほど気にしていないこともわかり、ローンに含めてしまえば、高級カーペットも購入しやすくなるのではと考えたのです。
そこで、床貼りカーペットを住宅の一部とみなすことで、まったく新しい価値提供の切り口を得たのです。
床貼りカーペットの購入者は、住宅を購入する若いカップルという顧客以外に、住宅業者という顧客が生まれたのです。
カーペットを床貼りにすれば、低コストで見栄えが良くなり、住宅を売りやすくなるからです。
こうして、顧客の視点に立ち、顧客ニーズを充たす床貼りカーペットという商品・サービスの着眼点によって、住宅購入者に加えて住宅業者という新たな顧客を創造することができたのです。
このマーケティングのイノベーションによって、米国のカーペット産業は大きく成長していきました。
その一方で、住宅にとって同じような役割を果たせたはずの照明器具産業は低迷を続けたと、ドラッカーは指摘しています。
黙っていても製品が売れるのは、深刻な物不足のときだけです。
ドラッカーは「抗がん剤ならマーケティングは必要としない。しかし、そのような製品は例外であり、あらゆる産業にマーケティングは必要である。」と述べています。
特に、ものづくりのマーケティングは、技術を顧客が喜ぶ価値へとつなげる視点が大切です。
次回 その9「起業家精神の条件」
著者紹介
浅沼 宏和
早稲田大学政治経済学部卒、中央大学大学院法学研究科卒、名古屋学院大学 論文博士
「社会制度変容の力学 -内部統制制度・リスクマネジメント・コーポレートガバナンス一体化の論理」
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