新入社員フォロー教育のご案内 /新鬼平随想録[第54回]

*2024年9月26日(木)

皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

本日は、

  • 企業の教育ご担当者様のお悩みで多く挙げられる「新入社員フォローアップ教育」
  • 石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」
    第54話

について、ご案内いたします。ぜひ最後までご拝読いただければ幸いです。

「新入社員フォローアップ教育」のご案内!

 人手不足が叫ばれている現在、入社したばかりの新入社員や若手社員の離職に頭を悩ませている人事担当者さまも多いのではないでしょうか。
せっかく苦労して採用した上で、入社後の新入社員研修を通じて教育を行った新入社員が離職をしてしまうと、次年度の採用計画にも影響が出てくると共に、業務運営にも支障をきたしてしまいます。
今回はそのような早期離職を防ぐための「新入社員フォローアップ教育」に関して説明をしていきます。


新入社員フォローアップ教育の必要性

 日本の人口減は2011年に始まったとされ、今後も長期にわたり人口の減少が見込まれているため、これからも採用に関しては売り手市場が続くと考えられます。また、近年では転職がキャリアの一つの手段として捉えられるようになってきたため、金銭的報酬だけで早期離職を防ぐのは非常に難しくなってきている現状です。
早期離職を防ぎ、新入社員を重要な戦力として育てていくための方策として、入社半年から1年後に新入社員フォローアップ教育を行っている企業も多いかと思われますが、どのような内容で教育を実施すればいいのか悩まれている企業担当者様も多いのではないでしょうか?
フォローアップ教育の基本的な役割としては、新入社員研修後に振り返りを行い、課題や改善点を確認することが挙げられます。新入社員研修で学んだことが活かされているかを確認すると共に、入社後に実際行ってきた業務と照らし合わせながら学習することで、自身の成長を実感して、業務を行っていく際の安心感を与えることも可能になります。
次からは、優秀な若手人材の流出を防いで定着率を高めつつ、組織の一員としての戦力化も進めるためのフォローアップ教育内容を紹介します。


JTEX 新入社員フォローアップ研修プログラムのご紹介



≪本プログラムのねらい≫
  • 1.入社から本研修を受けるまでの振り返りをし、自身の現状を改めて把握する。
  • 2.新入社員研修で学習したことが身についているかどうかを再点検すると共に、社会人としての意識やマナー、コミュニケーションの応用編を学ぶ。
  • 3.現状の悩みや問題点を他者と共有し、解決する。
  • 4.仕事を進めていく上での基礎知識を学ぶ。
≪ポイント≫
    本プログラムは、入社3~6ヵ月が経過した時期に、改めて自身や自身の業務、職場での人間関係を振り返り、整理をします。また、社会人としての意識やマナー、コミュニケーションについても再度振り返りをします。
    上記以外にも、リモートワーク/在宅勤務におけるモチベーションの維持や会社のしくみ、会計の仕組みなど仕事を進める上で新入社員が知っておくべき基礎知識を学びます。
≪プログラム詳細≫
【1日目】
    ■オリエンテーション
    ・研修のねらい、自己紹介、アイスブレイク

    • 1.入社後の振り返り
    • 2.新入社員研修の復習と応用
      • 社会人としての意識
      • ビジネスマナー・コミュニケーション
      • リモートワークや在宅勤務における対応等
    • 3.現在の悩みや業務上の問題点解決【1】
      • 悩みや問題点をポストイットに個人で記入、グループで共有する
      • KJ法を使って、悩みと問題点を整理
【2日目】
    • 4.現在の悩みや業務上の問題点解決【2】
      • 1日目に整理したテーマごとにグループを再編し、解決策をディスカッション
      • 個人ワークにて「行動指針」を記入
      • 記入した内容を発表、講師コメント
    • 5.仕事環境とモチベーション・マネジメント
      • 仕事の人間関係図
      • 仕事のプロセス・マップ
      • モチベーション曲線
      • モチベーション・マネジメント
    • 6.新人が知っておくべき会社のこと
      • 経営のしくみ
        (ヒト・モノ・カネ・情報/ゴーイングコンサーン/利害関係者等)
      • 企業会計のしくみ
    • 7.フィードバック演習
      • 他の参加者へのフィードバック

    ■研修の振り返りと行動計画の作成

    • 学習したことを整理し自分自身の課題を明らかにする
    • 行動計画を作成し、講師から添削を受ける



終わりに

 ここまで新入社員フォローアップ研修に関して説明をしてきましたが、フォローアップ研修は実施することにより、知識の定着やモチベーションアップ、離職防止等の効果は大きいといえます。
JTEXでは、今回ご紹介した研修プログラムの他にも通信教育やeラーニングなどさまざまな教材のご紹介が可能です。

ご不明点等ございましたらお気軽にお問合せください。





鬼平犯科帳連載について

JTEXメールマガジンでは、石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」を1話ずつお届けします。息抜きにご一読いただければ幸いです。

作者の池波正太郎氏は19歳のとき(昭和17年)、小平の国民勤労訓練所(戦後の中央職業訓練所)に入り、萱場製作所で2年間、四尺旋盤を使って飛行機の精密部品を作り、そのとき体で覚えたものつくりの手順で、『鬼平犯科帳』を書いたといいます。
このように、この小説の背景は意外に深く、皆様もこの作品から学ばれる点が多いと思います。



第54回 池波正太郎の銀座日記(2)

    2番目の[原文]と[備考]は、元武士の町医者・片桐宗かたぎりそう しゅん敵討かたきうち討手うってから逃れ、恋人と暮すため、江戸から越中・・井波・・へ移り住むという長編時代小説「秘密」の執筆に関するものである。

    [原文]☓月☓日
    新年から週刊文春で始まる連載小説の第1回だけでも、旧年のうちに書いておこうと思ったが、「秘密」という題名は決っても、やはり、書けなかった。私の小説は書き出してみないことにはわからない。これは昔からのくせで、いまさらどうにもならぬが、いつも新しく始める小説を書くときの不安は消えない。ともあれ、トップ・シーンさえ頭に浮んでくれば書く。あとは登場人物とテーマを追うだけである。(後略)
    ☓月☓日
    昨夜ベットに入ってから、新しい小説のトップ・シーンが頭に浮んだので、すぐさま飛び起き、忘れぬうちにと、第1回目の挿画さしえを1枚描く。今度もまた、自分の小説に挿画を描くことになったからだ。
    ☓月☓日
    (前略)いよいよ週刊誌連載第1回目の締切が明後日にせまったので、おもいきって書き出してみる。夕景までに8枚すすむ。おもってもみなかったような主人公になってしまったが、どうやら、うまくやれそうな直感がする。(後略)(「銀座日記」227―230頁、「銀座百点」昭和61年3月号)

    [備考]最初に1番目の☓月☓日は内容から見て昭和61年の1月上旬であろう。池波は週刊文春の昭和61年2月6日号から始まる連載小説で、先祖の地である越中・井波を書こうと、12月には決めていたと思う。この場合主人公は、井波生まれの人と井波へ移住する人と2通りあるが、池波は後者を選ぶ。しかしこれだけではトップ・シーンがすぐに浮ばなかった。池波がトップ・シーンにこだわるのは、戦時中に旋盤工として航空機用精密部品を製造していた時、最初に正しい箇所かしょから削らないと、必ず失敗すると厳しく訓練を受けたからである。
    次に2番目の☓月☓日は、前後から見て1月中旬の始めであろう。その日池波は、片桐宗春が丘の上で待ち伏せ、追ってきた侍を斬り、丘を降りてくると、丘の上から黒雲が追いかけ、刀を出して宗春の頭を突き刺す、そんな夢を見るシーンを思いつく。挿画画家になることが夢であった池波は、これをすぐ描き、「秘密」の最初の挿画にする。これは59年の鬼平犯科帳番外編「乳房ちぶさ」に続く、夢のうれしい実現であった。
    最後に池波の原稿締切は、週刊文春2月6日号の発売・・が1週間前の1月30日(木)なので、その2週間前の1月16日(木)であろうし、3番目の☓月☓日は1月14日であろう。この日から2日かけ、①主人公が前述の恐しい夢を見て悲鳴をあげたこと、②女主人公・おたみ・・・が心配したこと、③主人公は処刑場があった小塚原こつかっぱら村と 河島かわしま村とが入り組んだ農地の林の中の百姓家を借り、独り隠れ住むこと、④友人の医師が紹介する患者かんじゃを往診していること等を書き、池波は1回目の原稿を無事仕上げた。
    3番目の[原文]と[備考]は、池波が母を亡くし、井波へ行けなくなることに関するものである。

    [原文]☓月☓日
    (前略)年賀状のかわりの喪中欠礼のハガキの宛名を書く。(中略)つづいて、間もなく始まる週刊誌の原稿3枚弱と絵を描く。むずかしい。(中略)この秋は、先祖が江戸へ出て来る前(天保年間)に住み暮していた富山県の井波へ行こうと思っていたが、ついに行けそうにもなくなってきた。(「銀座日記」295頁、「銀座百点」昭和61年12月号)
    [備考]最初に☓月☓日は、内容から見て61年の10月下旬の始めであろう。この日から池波は喪中欠礼の葉書の宛名を自ら書き始めた。この年の3月、苦楽を共にしてきた母が突然脳出血で倒れ、意識も戻らず、5月11日に亡くなったのである。池波はこの日400枚の宛名を書いた。
    次にこの年の4月、池波は母の看護の中で紫綬しじゅ褒章ほうしょうを受ける。このこともあり、10月時点で予定も含め連載物が5本になり、この日も新連載「ル・パスタン」(仏語で気晴きばらしの意味)の原稿を書くが、910字以内で随筆をまとめられず、何回も書き直した。以上の様に仕事が増えたため、池波は井波行きを断念したが、「秘密」が丁度9月11日号で完結し、主人公・片桐宗春が代わりに越中・井波へ行ってくれた形になったことは面白い。なお「秘密」の井波関係の[原文]等については、別途御紹介する予定である。
    最後に「銀座日記」によれば、この日の夜、白と茶の小猫が池波家へ迷い込む。夫人が母の生まれかわりでは、というので、池波は飢餓状態でおとろえた小猫の体を獣医に治してもらった後、飼い始めた。皆が小猫をかわいがるので、他の4匹の猫が外へ飛び出し、帰ってこないこともあった(297頁)。また母が脳出血した時、池波は母が生きている内死ねないと思い、身体に気を付けたという。幼少の頃に祖父が死んだ時、曽祖母が嘆き悲しんだからである(334頁)。 (続く)




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2024年9月26日