エネルギー管理士とは
環境対策のスペシャリスト
エネルギー管理士は、燃料や電気消費量が特に多い工場等におけるエネルギー使用量の監視や改善を指揮する役割を担います。製造業や、電気・ガス・熱の供給を行うエネルギー産業や、電気消費量の多い大きな施設で必要とされるスペシャリストの証となる国家資格です。
エネルギー管理士の配置が義務付けられている工場は多くあるため、就業機会が多く、転職などもしやすいというメリットもあります。
また、工場での勤務以外でも、企業など法人における省エネ方針の決定に際してのアドバイス業務などでも活躍の場は数多く存在します。
エネルギー管理士試験は、熱分野と電気分野の2種類がありますが、どちらで取得しても両分野をまたいだ資格となりますので、得意な分野で受験することができます。
エネルギー管理者の職務
エネルギー管理者は、エネルギーの使用の合理化に関して、エネルギーを消費する設備の維持、エネルギーの使用の方法の改善及び監視、その他経済産業省令で定める業務の管理を行います(省エネ法第11条)。
また、エネルギー管理者は、その職務を誠実に行わなければならないとの規定があるほか、事業者はエネルギーの使用の合理化に関しエネルギー管理者の意見を尊重しなければならないこと、従業員は、エネルギー管理者の指示に従わなければならないことが規定されています(省エネ法第45条)。
試験の方法
2通りの取得方法があります。
国家試験による取得方法
- 一般財団法人省エネルギーセンター(経済産業大臣が指定した試験機関です。)が毎年8月に行うエネルギー管理士試験に合格する。試験はどなたでも受けられます。
試験はマークシート方式です。 - 免状申請の際に、エネルギーの使用の合理化に関する実務に1年以上従事したことを証する「エネルギー使用合理化実務従事証明書」の提出が必要となります。実務に従事した時期は、合格の前後を問いません。
- 電気主任技術者免状の交付を受けている方、または前回の筆記試験に合格した方は、筆記試験が免除になります。(別途、免除申請が必要です。)
- 経済産業大臣に申請することにより、エネルギー管理士免状が交付されます。
認定研修による取得方法
- エネルギー管理研修を受けるためには、研修申込時までにエネルギーの使用の合理化に関する実務に3年以上従事していることが必要です。
- 一般財団法人省エネルギーセンター(経済産業大臣が登録した研修機関です。)が毎年12月に行うエネルギー管理研修を受講し、修了すること。(修了試験に合格すること。)
修了試験は記述式です。 - 経済産業大臣に申請を行うことにより、認定され免状交付が受けられます。
試験科目
必須基礎区分および【熱分野】専門区分
筆記試験
次の4科目で、解答はマークシート方式です。
- [課目Ⅰ]エネルギー総合管理及び法規
- [課目Ⅱ]熱と流体の流れの基礎
- [課目Ⅲ]燃料と燃焼
- [課目Ⅳ]熱利用設備及びその管理
*エネルギーの使用の合理化等に関する法律および命令(問題数:1)
*エネルギー総合管理
---エネルギー情勢・政策、エネルギー概論(問題数:1)
---エネルギー管理技術の基礎(問題数:1)
*熱力学の基礎(問題数:2)
*流体工学の基礎(問題数:1)
*伝熱工学の基礎(問題数:1)
*燃料及び燃焼管理(問題数:2)
*燃焼計算(問題数:1)
*計測及び制御(問題数:2)
*熱利用設備
*ボイラ、蒸気輸送・貯蔵装置、蒸気原動機・内燃機関・ガスタービン(問題数:2)
--下記、4問題中2問題を選択し解答
---熱交換器・熱回収装置(問題数:1)
---冷凍・空気調和設備(問題数:1)
---工業炉、熱設備材料(問題数:1)
---蒸留・蒸発・濃縮装置、乾燥装置、乾留・ガス化装置(問題数:1)
必須基礎区分および【電気分野】専門区分
筆記試験
次の4科目で、解答はマークシート方式です。
- [課目Ⅰ]エネルギー総合管理及び法規
- [課目Ⅱ]電気の基礎
- [課目Ⅲ]電気設備及び機器
- [課目Ⅳ]電力応用
*エネルギーの使用の合理化等に関する法律および命令(問題数:1)
*エネルギー総合管理
---エネルギー情勢・政策、エネルギー概論(問題数:1)
---エネルギー管理技術の基礎(問題数:1)
*電気及び電子理論(問題数:1)
*自動制御及び情報処理(問題数:1)
*電気計測(問題数:1)
*工場配電(問題数:2)
*電気機器(問題数:2)
*電動力応用(問題数:2)
--下記、4問題中2問題を選択し解答
---電気加熱(問題数:1)
---電気化学(問題数:1)
---照明(問題数:1)
---空気調和(問題数:1)
標準解答および合格基準
熱分野・電気分野(共通)
- 必須基礎区分(課目Ⅰ)及び熱分野専門区分(課目Ⅱ~Ⅳ)又は必須基礎区分(課目Ⅰ)及び電気分野専門区分(課目Ⅱ~Ⅳ)のいずれか一つの分野を選択し、各課目の合格基準( 配点の60% ) 以上の得点を得て、選択した全課目が合格基準以上で合格となります。
試験課目の免除制度
エネルギー管理士試験には 試験課目の免除制度 が導入されています。
- (1)この制度は、選択した分野の受験の結果、一部の課目が合格基準以上の場合に、課目合格者となります。課目合格者はその合格した試験が行われた年の初めから3年以内に同一選択分野の受験をする場合に、合格している課目については免除となります。
- (2)合否判定は、免除期間中の課目と本年度の同一選択分野における受験結果により、全課目が合格となった場合に、試験合格者として判定します(なお、分野を変更した場合の必須基礎区分(課目Ⅰ)の免除の扱いは(5)によります)。
- (3)合格している課目の免除期間中は、その課目は受験することができません。ただし、課目ローマ数字1の免除期間中に分野を変更した場合で課目Ⅰが免除されないケース((5)参照)を除きます。
- (4)3年間の免除期間を過ぎた場合には、その合格している課目は無効となりますので改めてその課目を受験する必要があります。
- (5)課目Ⅰの免除期間中に選択した分野を変更した場合には、変更後の分野において課目Ⅰ以外に受験すべき課目があるときに限り、課目Ⅰを免除することとしています。
- (6)エネルギー管理士試験において、既に一つの分野を試験合格しており、別の分野を受験する場合は、課目Ⅰについて改めて受ける必要があります。
- (7)エネルギー管理士試験とエネルギー管理研修は異なる制度です。エネルギー管理研修で合格している課目は、エネルギー管理士試験では試験免除の対象とはならず、また、試験で合格している課目は、研修では試験免除の対象とはなりません。
資格取得の概要(※最新情報)
2021年12月6日