2025年度通信教育総合ガイドが間もなく完成します! /新鬼平随想録[第60回]

*2024年11月7日(木)

気がつけば日脚もめっきり短くなり、冬の訪れを感じております。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

本日は、

  • 2025年度の通信教育総合ガイド
  • 石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」
    第60話

について、ご案内いたします。ぜひ最後までご拝読いただければ幸いです。

~もう少々お待ちください~
通信教育総合ガイドが間もなく完成します!

この度、毎年刷新しているJTEX通信教育総合ガイドが完成に近づいてきました。
例年ですと、すでに皆様のお手元に届いている時期かと思いますが、本年度については準備にお時間を頂いております。大変申し訳ございません。
納品については11月下旬を予定しております。

後日、正式に完成報告をさせていただきますが、今回のメルマガでは新しいガイドの特集ページにあります、JTEXの思いと取組みをお伝え致します。

JTEXは職業訓練法人です。働く人の主体的な学びを応援します。

1.受講者Myページへのログインから、JTEXの学びはスタートします。
2.アナログでしか出来ないことを大切に、デジタルだから出来ることを活用して「学ぶ喜び」のある通信教育をお届していきます。




学ぶ喜びを大切に、継続して続けられる通信教育をお届けします。

1.デジタル技術を自在に操り、成果をあげる。
    加速するデジタル社会、AIはすべての職場に入り込み、人の仕事の質を根本から変えていきます。しかし、AIを何に使うかは人が考えること、デジタル技術を使い成果を上げていく道筋は、人が考える領域。それらは焦らずじっくり学ぶことで次第に見えてきます。
2.健やかに働き、そして社会に貢献していく。
    健やかに、その人らしく、仲間と共に働く組織をつくり、結果として社会に貢献していく。そんな今日の仕事は、現在の事業の成果を求めるマーケティングと、未来の事業を開拓するイノベーションを実現するための”行動”です。行動はいつだって、今しかできません。





お待たせしており申し訳ございません。
ガイド完成までしばらくお待ち頂ければ幸いでございます。




鬼平犯科帳連載について

JTEXメールマガジンでは、石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」を1話ずつお届けします。息抜きにご一読いただければ幸いです。

作者の池波正太郎氏は19歳のとき(昭和17年)、小平の国民勤労訓練所(戦後の中央職業訓練所)に入り、萱場製作所で2年間、四尺旋盤を使って飛行機の精密部品を作り、そのとき体で覚えたものつくりの手順で、『鬼平犯科帳』を書いたといいます。
このように、この小説の背景は意外に深く、皆様もこの作品から学ばれる点が多いと思います。



第60回 秘密と越中・井波(4)

    長編時代小説「秘密」(文春文庫)の、越中・井波関係の、4番目の原文と備考の続きをお読みいただきたい。

    [原文の4](前略)
    「道を歩いて行くと、軒をつらねた木彫り師の家から、のみの音が絶え間なく聞えてくる。人の情がこまやかで、……井波は、そのような、よいところなのです」(後略)(「秘密」文春文庫337頁)

    [備考の4]最初に原文の「人の情がこまやかで、井波は、そのような、よいところ」という宗春の説明は、池波が昭和56年に初めて井波を訪れて書いた「随筆」の中にある、二つの文章をもとに書かれたものである。
    一つは、浅草の老舗しにせ・駒形どぜうの子女に生まれ、井波の旧家に嫁がれた老婦人に、同じ浅草生まれの池波が会い、井波はいかがですかと尋ねると、老婦人が「ほんとうに、よいところでございますよ。こんなに人情の深いところはございません。朝なんか、道を通る小学生が、私などにも朝のあいさつをしてくれますの」(「私が生まれた日」朝日文庫157頁)と答えたという文章である。
    もう一つは、それから二日後の朝、旅荘の2階から通学中の小学生の男の子を見ていると、「その子は帽子をとって挨拶をするではないか。見も知らぬ旅人の私にである。一昨日の老婦人の言葉が、いまさらながらおもい起された」(「私が生まれた日」朝日文庫160頁)という文章である。
    次に池波はこの様な人情のこまやかな先祖の地・井波が大好きになり、その後何度も井波を訪ね、人々と親しむ。その一人で最も親しかった大和やまと秀夫氏は、最期まで先生は井波に住みたいと願っておられたという。そうだとすれば、「秘密」は、池波がみずから片桐宗春になって、夢を実現させた小説なのかも知れない。

    [原文の5](前略)
    片桐宗春は、井波へ立ち寄ると、町医者・久志本くしもと 長順ちょうじゅんの家へ滞留する。この人と亡父・宗玄とは、若き日、親しかったそうな。そのこともあって久志本長順は、宗春の身の上のこともわきまえていてくれ、
    「何、此処ここまでは追っても来ないし、来ても、われらが必ず、おぬしを守り通してみせる。(中略)おもいきって、この井波へ住みついては……わしは妻子のない老人ゆえ、おぬしがわしの跡をつぎ、井波の人びとの病気を診てやってくれれば、何よりうれしい。よくよく考えてみてくれぬか」(後略)(「秘密」文春文庫337頁)

    [備考の5]勝庵は久志本長順の「われらが必ず、おぬしを守り通してみせる」という言葉に打たれ、宗春の井波行に賛同する。しかし明朝までの間に襲われる恐れもあり、三人は用心をして語りあかすことになる。

    最後に、少々長いが、5番目の原文と備考をお読みいただきたい。

    [原文](前略)
    「若先生。三年ほどのうちに、私の方から白石を連れて、一度、井波へまいりますよ」(中略)
    「それは、うれしい。その日を、いまからたのしみにしています」
    のむうち、語るうちに、夜明けが近づいてきた。(中略)
    宗春が奥の部屋へ行くと、おたみは、ぐっすりと眠っている。
    「おい、これ……おたみ」(中略)
    「は、はい」
    「よく眠れたか?」
    「あい。夢も見ませんでした」
    「何よりだ。さ、起きて仕度を……」
    「ほんとうに、先生と旅に出られるのですねえ」
    「そうだ」
    「まるで、夢のような……」
    おたみの顔に、生き生きと血の色がのぼってきた。(中略)
    片桐宗春とおたみは、勝庵宅を出た。(中略)二人より先に、白石又市が出て、あたりの様子をうかがいつつ、田圃たんぼ道をえらんで千住へ向った。
    二人と共に、見送りの勝庵が歩む。(中略)三人が千住大橋の南詰めへ出ると、白石又市が待っていた。(中略)
    「勝庵どのと共に、井波へおいで下さい。ぜひとも……」
    「はい。必ず」
    早朝のこととて、長さ六十六けんの千住大橋には、人影を見なかった。(中略)橋の上の中央近くまで来たとき、宗春が勝庵と白石に、
    「さらばでござる」
    「若先生。おしあわせに」
    白石は、無言で頭を下げた。
    宗春とおたみは、大橋を北詰めに向って歩む。その途中で、二人は振り返り、勝庵と白石へ一礼した。(後略)(「秘密」文春文庫339頁-341頁)

    [備考]荒川から大川にかけての川面かわもに、もやがたちこめている。その上にかかる橋を共に渡り、新天地へ向かう二人。その姿が徐々に遠ざかっていく。そんな情景が眼に浮ぶ結末である。(続く)




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2024年11月7日