息抜きにパズルを! /新鬼平随想録[第59回]

*2024年10月31日(金)

秋も日一日と深まり、夜長の頃となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

本日は、

  • ちょっと息抜き!「思考力アップ↑大人のパズル講座」より「パズル」問題のご紹介
  • 石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」
    第58話

について、ご案内いたします。ぜひ最後までご拝読いただければ幸いです。

突然ですが!!息抜きに「パズル」はいかがでしょうか。



1.漢字部品合わせパズル
【ルール】

     「同じマーク」のところに「同じ漢字の部品」を入れて、全ての漢字を完成させましょう。それぞれの漢字の下には、その漢字の読み方の一つが書かれています。



2.じゃんけんパズル
【ルール】

  • 1.空いている四角の中に「グー」か「チョキ」か「パー」の手のどれかを入れましょう。
  • 2. 丸の中の数字は、そこに矢印が向いている手でいっせいにじゃんけんをしたときに、勝者が何人になるかを表しています。



このパズルは、「思考力アップ↑ 大人のパズル講座」で紹介しています。



受講者様の声



  • 「数独(ナンプレ)やクロスワードパズルで楽しく脳を使っていると感じた。これからも楽しくパズルを解きリフレッシュしたい。」(50代女性)
  • 「色々なパズルがあって、さまざまな考え方ができた」(20代男性)
  • 「今まで受講した通信講座のような実務中心の内容ではなく、ゲーム感覚で、脳トレのようで頭を使いながら楽しく取り組めた」(50代男性)

↓↓答えはこちら↓↓



いかがでしたでしょうか。
JTEXでは、資格取得準備講座や実務に役立つような講座以外にも、「パズル講座」のような講座も開講しています。パズル講座第1弾が好評だったため、来年秋には第2弾も開講予定です。

このような遊び感覚の問題でも「思考力」「集中力」「読解力」などのさまざまな力を養う事ができるだけでなく、シンプルに息抜きやリフレッシュ、頭の体操にもなる内容です。
これを機会に、いつもとは違う講座にも目を向けてみていただければと思います。



鬼平犯科帳連載について

JTEXメールマガジンでは、石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」を1話ずつお届けします。息抜きにご一読いただければ幸いです。

作者の池波正太郎氏は19歳のとき(昭和17年)、小平の国民勤労訓練所(戦後の中央職業訓練所)に入り、萱場製作所で2年間、四尺旋盤を使って飛行機の精密部品を作り、そのとき体で覚えたものつくりの手順で、『鬼平犯科帳』を書いたといいます。
このように、この小説の背景は意外に深く、皆様もこの作品から学ばれる点が多いと思います。



第59回 秘密と越中・井波(3)

    長編時代小説「秘密」(文春文庫)の越中・井波関係の3番目の原文とその備考をお読みいただきたい。

    [原文](前略)
    「よくきいておくれ。明日の夕暮れどきに、身支度をして、私の隠れ家へ来ていてくれ。よいな」
    「大丈夫です」
    おたみの顔が輝いた。
    「大むらの御主人にも、だれにも内証ないしょにして、黙って抜け出して来てもらいたい。それができるか?」
    「できますとも」(中略)
    「これでよし。さ、大むらへもどるがよい」
    「はい」
    「大むらでは変りはないか?」
    「お歌ちゃんも、すっかり元気になりました」
    「よかった。これで、江戸に、おもい残すことはなくなった。では、いま申したことを忘れずに……よいか。明日の夕方だぞ。お前が来ぬときは、私ひとりで江戸をってしまうことになる。ここへは二度と来ない。わかっていような?」
    「はい」
    しっかりとうなずき、おたみは[大むら]へ帰って行ったが、その帰りぎわに、垣根のところで振り向き、ほとんど声にならぬ声で、
    「うれしい」
    と、いった。(後略)(「秘密」文春文庫304-305頁)

    [備考]最初に、粗筋で述べたが、吉野屋が安らかに息を引き取ると、宗春はその日隠れ家へ帰り、旅支度をする。2人の患者に対する責任は果したし、江戸屋敷の藩士が執拗しつように自分を探しており、1日も早く越中・井波へ向った方がいいと決断したからである。
    次に宗春は翌朝すぐ向島の福松の家に行き、彼に料亭・大むらに勤めるおたみを連れて来てもらう。上の会話はその時のものであるが、宗春はおたみに明日の夕方、隠れ家に来る様指示する。こんな素早い決断が、2人の越中・井波行きを成功させることになる。
    続いて4番目の原文は長文であるので、数回に分けて、原文とその備考をお読みいただくことにする。

    [原文の1](前略)
    「さて、若先生。江戸をはなれて何処へ行きなさるので?」
    「越中の井波いなみというところへまいるつもりです」
    「越中……」
    越中(富山県) 砺波郡となみぐん井波いなみは、越中の高岡より七里。
    五箇山から飛騨ひだへつづく利賀とがの山地を背負った平野にあり、古いむかしの南北朝のころ、後小松天皇の勅許を得て創設された瑞泉寺という大刹たいさつがある。
    片桐宗春が井波を知っているのは、堀内源二郎一行に追われて旅をつづけるうち、二度ほど立ち寄っていたからだ。(後略)(「秘密」文春文庫336頁)

    [備考の1]最初に、粗筋で述べた様に、宗春は兄を殺された夜、自分も暗殺されると考え、勝庵に明朝早くおたみと江戸を発つ決意を述べる。この会話は、その際勝庵と弟子・白石に行先の越中・井波を説明したものである。
    次に原文の中にある「古いむかしの南北朝のころ」のくだりの文章は、池波が昭和56年、初めて越中・井波を訪れて書いた随筆「越中・井波―わが先祖の地」(以下「随筆」という)の中にある「この寺は、古いむかし、南北朝のころ、後小松天皇の勅許を得て創設された大寺である。」(「私が生まれた日」朝日文庫160頁)の文章をもとに書かれたものである。

    [原文の2](前略)
    北陸の地は「真宗王国」である。
    戦国のころの、宗徒たちが法灯を守るための結束けっそくは非常なもので、その激烈な抵抗に、戦国大名たちは大いに悩まされたという。(後略)(「秘密」文春文庫336-337頁)

    [備考の2]原文の文章は、「随筆」の中にある「北陸は真宗王国と、いってよい。戦国のころの、宗徒たちの、法灯を守るための結束は非常なもので、その激しい抵抗に戦国大名たちは大いに悩まされた。」(「私が生まれた日」朝日文庫160頁)という文章をもとに書かれたものである。なお池波はこの結束力の強さが越中・井波の人の特徴の一つと考えていた様である。

    [原文の3](前略)
    大刹・瑞泉寺の大伽藍のすべてを埋めつくした見事な木彫も、井波の工人の手によるものだそうな。(後略)(「秘密」文春文庫337頁)

    [備考の3]原文の文章は、「随筆」の中にある「その大伽藍のすべてに、隙間すきまもないほどに……さまざまな木彫がほどこされている。(中略)私の祖先も、この寺の改築には動員されたのではあるまいか。」(「私が生まれた日」朝日文庫160頁)という文章をもとに書かれたもので、池波は宮大工だった祖先を「秘密」の中に密かに入れたのであろう。




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2024年10月31日