Z世代へのかかわり方は??/新鬼平随想録[第38回]

*2024年6月13日(木)

梅雨入りの時期を迎えましたが皆様いかがお過ごしでしょうか?

本日は、

  • Z世代へのかかわり方
  • 石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」
    第38話

について、ご案内いたします。ぜひ最後までご拝読いただければ幸いです。

Z世代へのかかわりは 
  「自己肯定感を引き出す部下指導」で成長を支援しましょう



4月入社の新人は研修期間を終え、所属部署に配属され、現場リーダーの管理のもと諸先輩に見守られながら、仕事や職場に慣れていく日々を送っているころです。
一方、従来の職場では発想しえない新人の価値観に対するとまどいや、早期退職が話題となる昨今、Z世代へのかかわりはどうしたらよいのでしょう。

 

Z世代は、
  • 幼いころから、SNSアプリなどを使いこなしている。
  • オンライン空間の中でも「合う人とだけつながる」ネットワークを好む。
  • 将来に対しては期待より不安が上回る

と言われています。
日本経済の停滞や終身雇用制度の終焉などを背景として、Z世代は将来に対する不安が強く、これに対応するため、早期にキャリアを構築したいという願望が高くなっているのです。
簡単に離職するのは、「そういったスキルが身につかない職場、自分に合わない職場」といった見切りを簡単に判断してしまうためです。転職エージェントやSNSで賃金処遇が容易に比較できるようになった今日、就活中のZ世代の半数がすでに転職を視野に入れていると言われています。

こういったZ世代に対して、
好きなことだけやって、そうでないことには無関心、努力が足りず辛抱がないなど、マイナス面を感じ、それを是正するよう「部下指導」をしなければと感じることもあると思います。しかし、その指導は相手が苦手としていることを強いることにもなり、萎縮してしまうなど逆効果となる場合もままあるようです。
また、「わからないことは聞いてください」と伝えたのにもかかわらず、聞いてこないのは、新人が心理的な安全を感じられないからかもしれません。
現在、マネージャーの9割が
プレイングマネージャーであり、担当業務を抱えながら行うマネジメント業務も日々、難易度を増しています。マネージャー自身が多忙な毎日や、けっして思うようにはいかない雑多な業務に疲弊してしまうこともあるでしょう。

多忙な現場リーダーとZ世代の部下のために、JTEXは、

  • 「自己肯定感を引き出す部下の育て方」
  • 「マンガで学ぶ『心理的安全性』~働きやすい職場づくり」

の2講座をご提案いたします。

通信教育「自己肯定感を引き出す部下の育て方」

人間は本質的に未来志向、成長志向があり、前向きに生きたいとねがう存在であり、その原動力となるのが「自己肯定感」です。自己肯定感があることで、物事に積極的に取り組む意欲が出てくるのです。
本講座では、部下の自己肯定感を上げる上司の対応を学習し、部下を自律的な活躍人材に育てます。
前半は理論を学び、後半は上司自身と部下の良いところを見つけ、日常の中でほめることで成長を支援していくトレーニングを実施していただきます。
Win-Winの関係で、共感的・支援的な職場をつくって、活躍人材へとZ世代の成長を支援し、上司自身の元気も取り戻してください。




 
 
 
 
 
 
 
 
    主な項目
  • 序章 自己肯定感を育む職場づくりを目指す
  • 1章 21世紀の20年と新たな職場環境
  • 2章 人間の原動力としての「自己肯定感」
  • 3章 向上心を引き出す部下指導
  • 4章 共感的・支援的な職場集団をつくる
  • 5章 自身の自己肯定感・部下との関係性を分析する
    • トレーニング (1) 
      自己肯定感チェックシート(上司自身の自己肯定感を知る) ほか
  • 6章 WinWinの関係づくり
  • 7章 ほめほめトレーニング
    • トレーニング (3) 
      第1期 良いところを探そう1か月間チャレンジ ほか
  • 8章 シナリオ書き換えトレーニング
    • 後ろ向きな新入社員
    • 仕事の進捗を確認したいとき
    • 失敗をして落ち込んでいるとき   ほか


通信教育「マンガで学ぶ『心理的安全性』~働きやすい職場づくり」

一人ひとりが組織の中で活躍するためには、必要なことは聞けることが重要です。そのためには、「聞く」ことにリスクを感じない状態、つまり心理的な安全な状態が必要です。
心理的安全性が高い組織は、情報やアイデアの共有が活発になり、メンバーの向上心が高まります。組織ビジョンが明確に認識され、成果が生まれやすくなるのです。
本講座は、マンガを使って心理的安全性の高い職場と低い職場の違いを説明し、心理的安全性を高めるためのポイントを具体的にイメージできるよう解説します。



    主な項目
  • 1章 心理的安全性とは
  • 2章 心理的安全性を感じられるリーダーになる方法
  • 3章 心理的安全性を生かす人材を育てる
  • 4章 踏み出す自分になる
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「自己肯定感、部下育成に対する知識が得られた」「自分、上司、部下、同僚も客観視することができて良かった」などご受講者様から感想をいただいております。
ご受講を是非、ご検討ください。





鬼平犯科帳連載について

JTEXメールマガジンでは、石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」を1話ずつお届けします。息抜きにご一読いただければ幸いです。

作者の池波正太郎氏は19歳のとき(昭和17年)、小平の国民勤労訓練所(戦後の中央職業訓練所)に入り、萱場製作所で2年間、四尺旋盤を使って飛行機の精密部品を作り、そのとき体で覚えたものつくりの手順で、『鬼平犯科帳』を書いたといいます。
このように、この小説の背景は意外に深く、皆様もこの作品から学ばれる点が多いと思います。



第38回 金太郎そば

    中村吉右衛門主演の第22話「金太郎そば」(フジテレビ)が平成元年1月24日放映された。お竹は池波志乃が演じた。「銀座日記」によれば、翌日、池波正太郎は67歳の誕生日を自宅で祝ってもらった。しかし数日後久し振りに外出し、神田の山の上ホテルに泊ると、何を食べても食欲が出ないし、部屋で足が滑り、何度も転倒する。急性白血病が発症したのであった。原作の「金太郎蕎麦」(「にっぽん怪盗伝」角川文庫)は、鬼平犯科帳の前に書かれた短編盗賊小説の一つで、「鬼坊主の女」等とともに「鬼平外伝」と呼ばれる。原作の概要及び映画の感想は次の通り。
    お竹は越後・津川の母の実家で生まれた。父は既に亡くなり、母も6歳の時に病死すると、小商こあきないをする伯父夫婦は子沢山なので、江戸の旅商人の口添えで、9歳のお竹を本所の醤油酢問屋・金屋へ下女奉公に出した。
    主人・伊右衛門は養子で、算盤より書画が好きで、女房・おこうが1人で商売を切り回していた。お竹はこのお上さんに可愛がられ、商売を仕込まれたが、私が幸せになる程世の中はうまくできていないと思っていた。
    その通りとなる。お竹が14歳の時、お上さんは脳溢血で急死した。以後金屋の商売は全く振わなくなり、主人・伊右衛門は15になる息子・伊太郎と下女・お竹と老僕・善助を連れ、深川の裏長屋へ引き移った。そしてお竹と善助は子供のおもちゃにする巻藁まきわら人形を売って歩き始めた。はじめはもうけが少なかったが、そのうち2人合わせて日に、4、500文位になった。
    3年経った。伊太郎はこの間父を亡くしたが、同情した同業の横田屋に雇われ、働いている。だが母親ゆずりの才気と愛嬌があるので、横田屋はある日、酒屋をやってみないか、近所に30両で、いい売り店があると伊太郎に勧めてみた。
    伊太郎は、とんでもない、倒産後子供のおもちゃを売って10両程貯めましたが、とてもと首を振ってみせた。だがその10両を見た横田屋は、お母さんそっくりだ、そんな商いでよく貯めたものだと感嘆すると、伊太郎は恐れ入りますと目頭を押さえてみせた。
    しかしそのお金は、1日も早く、小さなお店でもいいから持って下さいと、お竹が伊太郎に差し出し続けてきたものである。これはお竹のお上さんへの御恩返しでもあり、将来の夫に対する愛情でもあった。ただし伊太郎が少し前に横田屋の18歳になる娘・おりよといい仲になっていることをお竹は知らなかった。
    横田屋も娘のことを知らず、10両で足りない金額は私が出そう、その代り娘のおりよをもらってくれないかというと、伊太郎はもったいないと殊勝げにいってみせた。
    おりよとの婚礼を済ませてから、伊太郎は深川の裏長屋へきて、女房にすると約束した覚えはないが、善助と一緒に働きにくるかと尋ねるので、お竹は表情も変えず断わり、3日後に浅草・阿部川町の居酒屋兼飯屋・ふきぬけ屋へ住み込み女中として入った。
    そこの主人から、嫌なら勧めないが、いい儲けになる話があるのだがといわれた時、お竹の虚脱状態にあった頭に、女1人食べていくために、金屋のお上さんの様に商売をしてみたいという考えがぱっと浮んだ。
    またお竹は、人形を売り歩いていた頃、3ヵ月に1度だけ、上野の無極庵むきょくあんで1杯の温かい蕎麦をすするのが唯一の生甲斐だったから、蕎麦屋をやりたいという思いがぱっとひらめいた。
    決心をしたお竹は、ふきぬけ屋の女中をしながら、主人の世話で、時々そっと池ノ端・仲町の水茶屋へ出かけた。お客は優しい人ばかりだったが、半年後に会った川越の旦那は特別であった。お竹が眠っている間に、お礼に20両を置いて去っていった。お竹はこれを見て身震みぶるいをしたが、有難く使わせて貰い、本郷・春木町の売り据えの店を買い、念願の蕎麦屋を始めた。
    しかし店の場所も悪く、また雇った前の店の職人の腕も悪かったから、仕入れた材料が残る日が続き、出前の小僧も逃げ出してしまい、職人の由松と2人切りになってしまった。
    その時、きらりとお竹の脳裡にひらめいたのは、水茶屋のお客で江戸でも有名な彫物師ほりものし「ちゃり文ぶん」のことであった。すぐ浅草・駒形の家を訪ねると、1年振りに会ったちゃり文は何事かとあわてたが、お竹の切実な願いを聞いて、心よく引き受けてくれた。その日から3ヵ月、お竹は1日おきにちゃり文の家へ通いつめる。
    それが終るとお竹は無極庵を訪ねた。幸い主人の瀬平が働き者のお竹を覚えていて、居間に上げてくれたので、窮状を話し、職人をお貸ししてもらえないかと陳情することができた。
    その後お竹は勝負に出た。旦那、馬鹿な女と思われるかも知れませんが、見て下さいましといって、地味な木綿の単衣ひとえの肌を、ぱっと脱ぐ。
    左の純白の胸部にまさかりをかついだ金太郎の真赤な顔が現われた。恐らく金太郎の全身がお竹の左半身に抱きついているのであろうが、ちゃり文がお竹のために高度な技法で朱入り、金入りを施した美しい彫物であった。
    驚いている主人夫婦に対し、お竹はお詫びをして肌を入れた後、これは客寄せの彫物で、もろ肌を脱いで、店でも働き、出前にも出るつもりですと説明をした。そして自分の過去を包み隠さず語り、ここでお店が失敗すれば、心がぽっきりと折れ、どうにもならない女になる気がしますと結んだ。
    主人は、ようござんす、腕のいい職人1人を3ヵ月貸しましょう、その間にお客を集め、3ヵ月経ったら彫物を見せてはならない、これを約束してくれるなら相談に乗って上げましょうと答えてくれた。
    お竹の捨て身の行動は見事に効を奏した。無極庵の職人・房次郎は由松を教え込み、蕎麦の味を一変させた。また、お竹の化粧もせず、髪に鉢巻をし、金太郎を躍動させて一生懸命に蕎麦を運ぶ姿は、人々の心を捕えた。たちまちお竹の店は満員となり、3ヵ月後肌を収めても客足は絶えなかった。
    それから約1年経った文化2年6月27日。大泥棒・鬼坊主清吉が2人の子分とともに市中引きまわしの上、品川で処刑される日である。途中何度か休止があるたびに、鬼坊主は「武蔵野に名ははびこりし鬼あざみ今日の暑さに少ししおれる」と辞世の歌を高らかに詠むので、見物人が押しかけた。
    最後の休止の時、鬼坊主は今一番先に頭に浮ぶものは何かと子分達に聞いた。2人は女と答えたが、鬼坊主も池ノ端の水茶屋で会った女が今も忘れられないと打ち明けた。
    丁度その頃お竹の店では、由松が鬼坊主の話をしていたが、お竹はそんな見物をしているひまがないと全く関心を示さなかった。
    またお竹はこの日も川越の旦那に一目会いたい、今日あるのは旦那のお蔭だと由松にいう。由松はお察ししますと答えたが、その雰囲気からお竹は、由さん、私を好いてくれているらしいねというと、由松は真赤になり、あわてて蕎麦を切り出したため、親指を少し傷つけてしまった。
    以上であるが、小説の川越の旦那と呼ばれる鬼坊主清吉に代って、映画では木更津の旦那と呼ばれる藁馬わらうまの重兵衛が登場する。盗賊・藁馬はお竹を裏切った横田屋の伊太郎を懲らしめるため、横田屋へ忍び込み、伊太郎が寝ている間に髪を切り、手箱の85両を盗み、藁馬を置いてくる。
    髪切りについては、鬼平犯科帳「男の隠れ家」(文春文庫21巻)に、盗賊・玉村の弥吉が婿養子の吉野屋の主人をさげすむ女房・お里の髪を同様にして切る話がある。
    また藁馬については、盗賊が犯行後誰が盗んだかを知らせるために残すもので、鬼平犯科帳では、狐火の勇五郎が狐火の札、血頭の丹兵衛が自分の名前を書いた札を残す等の例がある。なお藁馬は深大寺の赤駒、信州・相原の藁馬、千葉の真菰馬まこもうま等各地にあり、木更津にもあったかも知れない。
    次に映画の最後では、木更津の旦那が夜遅くお竹の店の前までくる。待伏せをしていた平蔵が、木更津の旦那が盗賊だと知ったら、お竹は何と思うのかとさとし、盗賊・藁馬はいさぎよく縄につく。この結果、藁馬は罪一等減じられて島流しとなり、お竹と由松はめでたく夫婦めおととなり、金太郎そばは本郷の名物として益々繁盛したという。
    最後に池波志乃は一途で行動的なお竹を見事に演じているし、映画第35話「猫じゃらしの女」、第109話「五月闇さつきやみ」にも出演し、現在しか考えないでたくましく生きる女・およねをあざやかに演じている。




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2024年6月13日