QC検定®(品質管理検定)3級合格に向けた勉強法紹介 /新鬼平随想録[第14回]

*2023年12月21日(木)

毎年のことながら、月日の経つのはなんと早いのだろうと驚かされる年の瀬となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。

本日は、

  • QC検定®(品質管理検定)3級合格に向けた勉強法のご紹介
  • 石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」
    第14話

について、ご案内いたします。ぜひ最後までご拝読いただければ幸いです。

QC検定®3級 合格に向けた勉強法を紹介!



近年受検者数も多く、人気の高い「QC検定®」ですが、ここでは「QC検定®を取得したいが、どのように勉強を進めればいいのかわからない」と悩まれている方へ、試験範囲や、合格に向けた勉強方法を、受検者数の大半を占めるQC検定®3級に絞って解説していきたいと思います。
難易度的には独学での合格も可能な資格ですので、実績のあるオリジナルテキストを使用した「JTEX通信教育」もご活用ください。

QC検定®3級 合格ライン

QC検定®は「品質管理の知識や手法」を評価する検定です。1級から4級まで難易度別に分かれており、3級では基本的な品質管理の知識を問う問題が出題されます。
合格に必要なラインは「出題を手法分野・実践分野に分類し、各分野の得点が概ね50%以上であること。及び、 総合得点が概ね70%以上であること」とあり、下記を全てクリアすれば合格できると考えられます

    【合格ライン】

  • 手法分野:50%以上正解
  • 実践分野:50%以上正解
  • 手法分野と実践分野を合わせて:70%以上正解

QC検定®3級 出題内容

QC検定®3級の出題内容は「品質管理の実践」「品質管理の手法」です。
4級で出題される「企業活動の基本分野」は3級にはありませんが、
その分2つのカテゴリの内容で難易度を高めた出題がなされます。

「品質管理の実践」では、「QC的なものの見方・考え方」「品質の概念・管理方法」「品質保証」「品質経営」などの内容が中心で、プロセス重視の考え方や、データに基づくアプローチ、因果関係についてといった基本的な概念や、言葉の定義といった問題が出題されます。

「品質管理の手法」では、試験範囲からまんべんなく問題が出題されますが、出題数が特に多いのはQC七つ道具に関する問題です。そのため、QC七つ道具、新QC七つ道具は重点的に勉強する必要があるでしょう。

学習時間の目安

「品質管理の実践」に関しては、テキストを読み込み、基本的事項を覚えていくという、いわゆる暗記作業です。
出題頻度の高い用語や範囲をテキストで確認し、わからない用語が出てきた際には、都度確認していくことが重要です。時間の取れるときにテキストに目を通し、継続的に過去問を解くことを繰り返しましょう。

JTEX通信教育講座においては「品質管理の実践」は1,2か月目の学習にあたり、項目ごとに重要度を3段階に分けて案内しています。また、出題頻度の高い用語等も一目でわかるように工夫して編集されていますので、暗記も苦にならず、学習を進めることが可能です。

「品質管理の手法」に関しては、統計や相関関係の分析など実際のデータを読みながら問題に答える形式の出題となっています。

「データの取り方」に関しての公式としては「平均値」「メディアン」「平方和」「不偏分散」「標準偏差」「変動係数」の6つです。ここでは、公式を確実に覚えるとともに、データの種類を明確にできるようにする必要があります。

また、出題数が特に多いのは「新旧QC七つ道具」に関する問題です。
「QC七つ道具」において効率的な学習を進める上では
「1,文章ではなく図で特徴を押さえる」
「2,ヒストグラムの計算を覚える」という2点が重要です。

文章ではなく図で覚える理由は文章で暗記をするのには時間がかかるので、図で特徴を押さえてから文章で要点を理解する方法が効率的だからです。QC七つ道具の中でも「管理図」は出題頻度が高い箇所であり、XーR管理図、np管理図、p管理図が出題されます。ここをしっかりと理解しておくことで合格へ近づきます。

「新QC七つ道具」においては、新和図法、関連図法、系統図法の違いを理解しておくことが必要です。3級では名称と図の使用理由のみが出題されますので、しっかりと時間をかけて3つの違いを押さえておきましょう。

    JTEX「QC検定®対策通信教育講座」は、図を豊富に使用した、2色刷りのわかりやすいテキストと、ていねいな解説、また、各章ごとに厳選された練習問題を解くことにより、効率的に合格へ向けた勉強ができます。

    多くの受講実績を誇るJTEXの通信教育を最大限に活かし、 徹底的に準備をして合格を勝ち取りましょう!通信教育を活用した合格への最短の「道」教えます!!




鬼平犯科帳連載について

JTEXメールマガジンでは、石岡慎太郎(JTEX理事長)による池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』をもとにした「新鬼平随想録」を1話ずつお届けします。息抜きにご一読いただければ幸いです。

作者の池波正太郎氏は19歳のとき(昭和17年)、小平の国民勤労訓練所(戦後の中央職業訓練所)に入り、萱場製作所で2年間、四尺旋盤を使って飛行機の精密部品を作り、そのとき体で覚えたものつくりの手順で、『鬼平犯科帳』を書いたといいます。
このように、この小説の背景は意外に深く、皆様もこの作品から学ばれる点が多いと思います。



第14回 都庁時代の池波

    池波正太郎は昭和21年から30年まで東京都職員として勤務し、戦後の経済社会の混乱の中で蔓延する伝染病の予防や困難な地方税の徴収のために一生懸命働いたことは余り知られていない。しかしこの公務経験が、本人の言及はないものの、鬼平犯科帳と深く関係しているように思えてならない。
    初めに日本では終戦直後、赤痢、ジフテリヤ、発疹チフス、マラリヤ、天然痘、日本脳炎等が大流行し、多くの人が亡くなった。このうち発疹チフスはシラミが媒介するリケッチャによる伝染病で、シラミに刺されて1、2週間すると発熱し、2、3日で39、40度に達し、4日目には発疹が出て、血圧が下がり、意識が混濁し、死亡する。これが全国的に流行したので、進駐軍は21年1月に特別チームを編成し、1,700万人にシラミの駆除剤DDTを撒布し、530万人に予防接種を行った。その結果チフスは20年から25年まで33,082例が発生し、3,478人が死亡したが、次第に終息していった。
    また21年から25年にかけ地方税制の大改革が行われた。その結果都道府県税の収入が20年の3億円から26年に279倍の838億円に、また市町村税の収入が6億円から218倍の1,303億円になり、地方自治体の財政基盤が確立されていった。しかし地方税を支払えない中小企業が多く、税の徴収関係の仕事は大変であった(『GHQ日本占領史』杉山章子訳。日本図書センター)。
    このような終戦直後において、『青春忘れもの』(中公文庫)や『おおげさがきらい』(講談社文庫)、『完本池波正太郎大成』別巻(講談社)によると、20年8月、鳥取県の海軍美保航空基地から東京へ復員した22の池波は、何をすればよいのか分からなかったという。しかし21年読売が演劇文化賞の創設を発表した時、ひとつやってみるかという目的が初めて生まれた。ただ半年間収入なしでは戯曲を書けないので、進駐軍と東京都が発疹チフス撲滅のため募集していた労務員になった。
    池波が配置されたところは、浮浪者の密集地帯として有名だった上野山内をひかえる下谷(現台東)区役所であった。作業は進駐軍の兵士達が区役所にやってきて、労務員を引きつれ、焼け残りの家々でDDTの撒布とワクチンの注射を行い、患者が発生した場所は再三にわたって消毒し、これを管理することであったが、下谷区の場合は発生患者が多く、池波は昼夜兼行で働いた。そんな中で「雪晴れ」という戯曲をなんとか書き上げ、読売に出したところ、選外佳作となった。
    一方進駐軍は東京都に保健所の設置を命令し、22年から池波は東京都の正職員に採用され、下谷区役所に設けられた保健所の職員となった。そして進駐軍の代わりに学生アルバイトをつれて、浮浪者を入浴させたり、注射をしたり、収容宿舎ができるたびに移したり、夜中上野駅の地下道の出入口をふさぎ、白衣にマスクで注射道具とDDT撒粉器を持って飛び込み、逃げまわる浮浪者を捕え、感染から守ったりして、汗みどろになって働いた。
    仕事が終わると、感染等をせぬよう必ず入浴及び上着と下着の洗濯をした後、次の戯曲を書いたが、母達と住む借家を明け渡すことになった際にも、上司の配慮で下谷保健所の事務室に寝泊りを許され、仕事と執筆を続けることができた。その結果次作は佳作となり、長谷川伸に認められる。
    昭和25年に結婚し、保健所の仕事も一段落したので、27年、目黒税務事務所に転勤し、徴収員として、家屋税や事業税、飲食税、自転車税等の地方税滞納者の家を訪ね、これを整理して歩いた。
    ある時大臣の私邸の家屋税を取りに行った時、応待に出た人が大臣風を吹かせ、警察に届けてから取りにこい等と筋違いなことをいうので、税金を決めた政府の大臣がこんなことでは困ると思い、差押えを強行した。大臣側はすぐ税を払ったが、池波はこれ以外差押えはしなかったという。
    またある人が自分をけだもの扱いにし、罵倒の限りをつくした時、池波はその人の頬を張ってしまい、抗議の人が押し寄せてきたが、上司が応待をし、かばってくれたともいう。
    30年、池波は戯曲や小説で身を立てる決意をして辞表を出すが、山村課長が万一の場合を考えて、辞表を半年間握りつぶしてくれたことを後で知り、大変感謝をしている。
    一方辞職した池波も徴収員として歩いた町を度々訪れ、自分に協力して少しずつ納めてくれた滞納者の店が繁昌しているのを見て喜び、同様の店が苦境を切り抜けられず、無くなっているのを見て悲しんでいる。
    このような経験が昇華され、名作が生まれたのではないかと思われる。
    なお台東区役所は、そんな池波正太郎を記念して池波正太郎記念文庫(台東区西浅草3-25-16)を設置している。




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2023年12月21日