【電験三種Q&A(7)】同期調相機の解説がわかりません。また、励磁電流を減少すると進み無効電力を供するようになるのは、なぜ?

Question
同期調相機の解説で、「励磁電流を増加すると遅れ無効電力を供給する」とありますが、
どうしてなのかわかりません。
また、励磁電流を減少すると進み無効電力を供するようになるのはなぜですか。
Answer
 同期調相機は、無負荷の同期電動機で、界磁電流(励磁電流)を変化させることにより誘導起電力が変化します。
供給電圧をV〔V〕、回転する磁極によって誘導される電機子巻線の誘導起電力をの合成起電力を、界磁電流を、電機子電流(負荷電流)をとして、【図5】 に示すようなベクトル図を描くと、理解できると思います。
ベクトル図を単にみるのではなく、必ず自分で考えながら描いてみましょう。

なお、電動機の電機子抵抗は無視し、同期リアクタンスをとしています。

  •  ① 力率1の場合、供給電圧と負荷電流は同相の状態です (【図5(a)】)。
  •  ② 励磁電流を増加すると、誘導起電力Eが増加し、電機子電流は大きくなって、供給電圧より進み力率となります。
    このため、進み無効電力を必要としますから、電力用コンデンサとして働きます(【図5(b)】)。
  •  ③ 励磁電流を減少すると、誘導起電力Eが減少して、電機子電流は遅れ力率となり、遅れ無効電力を必要としますから、分路リアクトルとして働きます(【図5(c)】)。
  •  ④ 工場などの電動機では、リアクトルにより遅れ力率になります。力率を100%に改善するため、電力コンデンサを接続しています。




【図5】
これらのことから、励磁電流を変化させると、電機子電流の供給電圧に対する位相が変わり、さらに電機子電流の大きさも変わります。
なお、力率の進み・遅れは供給側からみるか、電動機側からみるかによって逆転します。通常は、供給側(系統側・電源側)からみて電流の遅れ、進みが示されています。
したがって、供給側からみて電動機が遅れ無効電力(遅れ力率)である場合、これは電動機からみると、供給側(系統側)に進み無効電力を供給しているという表現がなされることがありますので注意してください。

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