ジェンダー・ギャップ121位の衝撃

*2021年5月27日(木)

世界経済フォーラムが各国における男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数2020を発表し、0が完全不平等、1が完全平等を表す中で、日本の総合スコアが0.652と153か国中、121位であったことが話題になりました。
このスコアは経済、政治、教育、健康分野のデータから作成されますが、特に経済は0.598で115位、政治分野が0.049で144位と低く、政治・経済が男性中心に回っている現状を表した結果となっています。

日本の企業や議会は健康な日本人男性が長らく多数を占め、女性が多い職場であっても管理職は男性であることが当たり前でした。出産や育児で休みを取る必要がなく、仕事にまい進できる男性を主体に組織を構成することで効率性を重んじてきたのです。
しかし、こういった生産性優位の考え方が反面で長時間労働を生み、単一の価値観に陥りやすい硬直化した企業風土の一因となってきたとも言われています。

企業業績と多様性、世界のジェンダー・ギャップ

2019年国際労働機関(ILO)は、世界70か国、約1万3千社を対象にした調査で、「約6割の企業が『職場における性別の多様性が企業の業績を改善させた』と回答した」ことを発表しました。

ILOは世界の消費需要の70%を女性が占めている現状から、企業が繁栄し成長するには、企業役員の構成に、この消費基盤の多様性を反映させる必要があると啓蒙しています。
女性役員のメリットとして、次の5点を挙げています。

  • 財務実績の強化
  • 意思決定の質の向上
  • 消費者理解の増進
  • 企業ガバナンスの向上
  • 人材の確保と育成

なぜ、財務実績の強化につながるかといえば、「女性に投資する価値を認める」投資家が増えているからだと言います。
多様性を受け入れ、ジェンダーバランスの取れた役員会は、協議に多様な視点を取り込むことができ、顧客の好みをより良く理解し、財務以外の業績評価指標にも重点を置くことができるため
企業ガバナンスを向上させ、株主からの視点についても配慮し、結果としてより良い判断を下すことができるというのです。
これはSDGsの理念とも関連していきます。

SDGs目標5 ジェンダー平等を実現しよう

SDGsでは
「ジェンダーの平等を達成し、全ての女性と女児のエンパワーメントを図る」が目標5に挙げられていますが、目標10「人や国の不平等をなくそう」にも関連目標があります。
ターゲット10.2では、「2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する」がそれで、世界はダイバーシティに向けて、舵を取りつつあり、投資家も、その成果を注目しているのです。

女性リーダーを阻む障壁と対策

とは言え、実は世界でも女性リーダーは不足しています。
障壁のトップ3は「家族的責任」「男女の固定観念」「男性中心の企業文化」を挙げています。
この障壁は日本も同様で、世界共通のようです。
企業にできることとして挙げられているのが、次の5点です。

  • トップの姿勢を明確にする
  • 社内の個々のジェンダー障壁を分析し、的確な対策をとる
  • 人事・報酬等の透明性を徹底する
  • 柔軟な勤務形態を推進する
  • 昇進ができる環境を創る

日本では、女性活躍推進の課題として、女性自身の目標となるロールモデルが不在であることを挙げる企業が多くなっています。
それは各国も同じであり、そのロールモデルをつくるために、コーチやメンターの存在が重要とILOは指摘しています。

さて、JTEXでは、
「女性活躍からはじめるダイバーシティの実践(SDGsジェンダー平等を達成)」講座を開講しております。
本講座は、「ハッピーキャリアプログラム-女性のキャリアアップ・起業コース」
「女性リーダー育成コース」で著名な関西学院大学の大内章子教授監修による講座で、男性と女性のそれぞれが抱える問題について学び、互いの違いを理解し、協力しあいながら、仕事を進めていく職場づくりを学習します。
まずは、女性、男性問わず、いきいきと活躍できる職場づくりが大切です。
主な項目
  • 第1章 女性の活躍がなぜ組織の活性化につながるのか
  • 第2章 女性を取り巻く現状を理解しよう
  • 第3章 男性中心社会組織で起こっている問題
  • 第4章 現在の諸制度
  • 第5章 ワーク・ライフ・バランス 働き方・生き方の多様化
  • 第6章 違いを活かした組織をつくるダイバーシティ・マネジメント
  • 第7章 リーダーの心得
  • 【発行・編集・著作】
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    2021年5月27日