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【最終回】ドラッカー仕事論|成果をあげる5つの基本行動とは
*2026年6月11日(木)
日差しが少しずつ夏らしくなってまいりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
長期にわたりお届けしてまいりました 「ものづくり人のためのドラッカー」も、今回が最終回となります。
本日は、
- ドラッカーが提唱する「成果をあげるための基本行動」をテーマに、実務に直結するエッセンス
- JTEXのドラッカー講座
について、ご案内いたします。ぜひ最後までご拝読いただければ幸いです。
最終話 ドラッカーの仕事論‐成果をあげる基本行動‐
日々の実務にすぐに活かせる視点を整理してご紹介いたします。

コラム「ものづくり人のためのドラッカー」を長い間、拝読いただきありがとうございました。
最終話として、ドラッカーが提唱する「成果をあげるための五つの基本行動」をお送りいたします。
ドラッカーは、「仕事とは成果をあげるプロセスである」と考えていました。目的(成果)がなければ、そこに至るプロセスは明確になりません。したがって、仕事においては成果を意識することこそが第一です。
また、ドラッカーは、人は不完全であるからこそ、それぞれの人の強みを発揮させ、弱みをカバーできる組織のマネジメントが大切だと考えてきました。強み弱みを包括する各人が成果をあげるためにはどのようにしたらよいか、ドラッカーの提言する基本行動を紹介します。
ドラッカーは、仕事自体(Work)と働くこと(Working)を区別していました。仕事というものは「人から独立した客観的な存在」です。「仕事の内容について成果のあがるように適切に設計すること」と、「実際に仕事を行って成果をあげること」はまったく別物です。
仕事と働くことを区別することで、明快なマネジメントを行うことができます。ドラッカーは、「仕事には論理があり、働くことには力学がある」と述べています。
仕事は成果へのプロセスであり、論理的なアプローチが適用できます。しかし、実際に仕事を行う人間は複雑な存在で、なかなか理屈通りに働くことができない側面があります。そうした「生理的側面、心理的側面、社会的側面、経済的側面、政治的側面」が複雑に影響し合うことを「力学」とドラッカーは呼びました。
働くことの力学の複雑さに対処して調和を図ることもマネジメントです。人間が複雑な存在であるからこそ、成果をあげるための基本行動が重要となります。
1.成果をあげる五つの基本行動
ドラッカーは、最大限の成果をあげるための基本的な行動習慣として次の五つをあげています。
【ステップ1】 時間管理
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ドラッカーは、「成果をあげるものは仕事からスタートしない。時間からスタートする」といっており、時間管理こそがマネジメントの出発点です。
- 仕事の標準化不足:仕事の作り込みが不十分なため、アクシデントが発生する。
- 人員過剰:人間関係の調整や摩擦の解消に10%以上の時間が取られるならば、人が多すぎる。
- 組織構造の欠陥:会議は組織構造の補完手段であるため、頻繁な会議は組織構造の問題が疑われる。
- 情報不全:適切な情報が適切な人に伝達されないと仕事が滞る。
あらゆることに時間が必要で、しかも常に時間は不足しています。時間こそが最も希少な資源であり、また最大の制約条件といえます。
時間管理の要点は、時間をまとめて成果のあがる仕事に優先的に使うことにあります。そのためには、成果のあがらないことに使っている時間を整理していくことが必要です。
時間管理のうまい人は、日常業務にメリハリをつけ、重要業務に十分な時間をかけ将来に向けた取り組みをしています。
時間管理の下手な人は、間延びした日常業務と頻繁なトラブル対応に時間を取られ、やるべき仕事に投入する時間が少なくなってしまうのです。
ドラッカーは、時間の浪費の四つの原因をあげています。
組織の時間浪費の兆候には、十分に注意しなければなりません。
【ステップ2】 貢献意識
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組織に働く人は、「組織に対して、どのような貢献をするべきか」を考える必要があります。「貢献意識とは成果をあげる責任を意識すること」でもあります。
- 1人目の石工 「この仕事で生計を立てています」
- 2人目の石工 「国一番の石積み仕事をしています」
- 3人目の石工 「大聖堂を建てています」
ところが、ほとんどの人は成果ではなく、自分の努力に焦点を合わせていて、成果への意識がよくわからない人も多いのです。
ドラッカーは貢献意識について、「ブライアン看護師の原則」と「三人の石工」のエピソードをあげています。
ブライアン看護師は、職位も低く、特に優れた能力があるわけではないのですが、彼女の担当する病棟は、患者の回復がとても早かったのです。彼女は病院内で、何かを決めようとするときに、「それは患者さんにとって一番良いことでしょうか」と必ず尋ねることで有名でした。彼女が定年で退職後も、その病院では彼女の口癖を「ブライアン看護師の原則」として受け継いでいったのです。
三人の石工の話は、ある建設現場で働く石工に「あなたは何をしているのですか?」という問いに対しての答えに貢献意識のポイントがあります。
1人目の石工は、いわれた通りのことをするマニュアルワーカーで、2人目の石工は自分の仕事だけを考えて全体への視点が欠けています。3人目の石工は、大聖堂を建てるという大きな目的を意識し、そのために、ここで石積みをしているのだと自分の役割とあげるべき成果がわかっているのです。これが貢献意識です。貢献意識があると、もっと良くするためには、もっと早く仕上げるためにはと、より大きな成果をめざせるのです。
ドラッカーはこうした貢献意識をもつことを「真摯さ(Integrity)」と呼び、とても重視していました。最大の成果をあげることを自分自身の責任として考えることが「真摯さ」なのです。
【ステップ3】 強みをいかす
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成果をあげるためには、「強みを生かす」ことです。反対に成果があがらなければ、強みを生かしているとはいえません。
成果があがっていないにもかかわらず、「自分は強みを生かしている」と思っている人が多くいます。得意なはずなのに成果があがっていないなら、それは強みではありません。苦手であると思っていても、実際に成果があがっているなら、それが強みなのです。
強みがまだ見つからない人は、どうしたらよいでしょうか。そうした場合、自分のできることをどんどん実行していくことが大切です。
「今の私にできることは何か」を常に考えていれば、手持ちの時間や知識では、とても処理できないほど、たくさんの仕事があることに気が付くでしょう。
そうして、積極的に仕事に取り組んでいく中で、思わぬ成果があがるようになります。それが、次第に強みへと変わっていくのです。
また、すでに通用しなくなった、かつての強みにこだわりすぎて、成果のあがらないベテランも珍しくありません。強みは常に磨き続けなければなりません。
【ステップ4】 集中する
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ドラッカーは、成果をあげるためのコツを一つだけあげるとすれば、それは「集中」であるといっています。成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかやりません。時間管理によって得られた、まとまった時間をそのために使うのです。
やるべきことがあまりにも多いからこそ、集中が必要になるのです。「成果をあげる人は、一時に一つの仕事をする。」その結果、他の人より少ない時間しか必要とせず、成果をあげられない人の方が多くの時間を働いているケースが、多くあるのです。
(1)体系的廃棄
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集中のためには成果のあがらなくなった仕事や活動を見つけてやめる必要があります。ドラッカーはこうした取り組みを「体系的廃棄」と呼んでいます。集中するためのまとまった時間を、体系的廃棄によって捻出していくのです。
「集中と体系的廃棄は表裏一体」のものです。
ドラッカーは、体系的廃棄のために、一つの基準を提示しています。それは、
「もし、その仕事を今やっていなかったとしたら、またそれをやろうと思うか。」というものです。この答えが無条件でイエスでない限りは、やめてしまうか、大幅に縮小すべきです。
(2)昨日の活動から、明日の機会を優先する
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集中のためには、仕事の優先順位を決めることも大切です。大きな成果を期待できる仕事にこそ、まとまった時間を投入しなければなりません。
ドラッカーは、集中するべきものの選び方について基準を明らかにしています。
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過去 より 未来 を
内 より 外 を
問題 より 機会 を
無難 より 変革 を
横並び より 独自性 を
緊急性 より 重要性 を
左側は「マンネリ化した日常業務の特徴」であり、右側が「大きな成果につながる視点」です。日常業務は惰性になりがちですから、常に点検しなければなりません。重要な仕事に集中するためには、日常業務をしっかりと作り込んで問題やトラブルが起きないようにすることが大切です。
また、「優先順位」を決めることと同時に、今取り組むべきではない仕事、つまり「劣後業務」を決めることも大切です。
「集中、体系的廃棄、優先順位、劣後順位」を関連付けで身に付けましょう。
【ステップ5】 意思決定
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意思決定」には、経営方針や経営戦略を決めるといった意味での意思決定と、もう一つは、問題解決の方法を決めるという意味での意思決定があります。
いずれも仕事で成果をあげることに関わるものですが、経営方針を決めることも広い意味では問題解決といえます。ここでは、問題解決の方法を決める意思決定ととらえて、考えていきたいと思います。
ドラッカーは、日常的に発生する問題の多くは、表面的なものにすぎず、本当に大切なのは、そうした問題の背後にある本質的な問題を解決する必要があると考えていました。
たいていの問題には共通する特徴があり、本当に例外的な問題はそれほど多くはありません。ドラッカーはこういっています。
「本当に例外的な問題を除き、あらゆるケースが基本に基づく解決策を必要とする。原則、方針、基本による解決が必要となる。一度正しい基本を得たならば、同じ状況から発する問題はすべて実務的に処理できる。」
似たような問題を同じグループのものと考え、基本に則って解決していく、このために、ドラッカーは、仕事を次のような三つのタイプに整理し、問題解決にあたればよいと提言しています。
(1)インプットとアウトプットが定型
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仕事に必要な「もの・情報」と、仕事の成果が明確に定義できる仕事がこのタイプです。「誰がやっても結果が同じ仕事」のことです。給与計算や請求業務のように、事務部門等で行っている仕事の多くがあてはまります。仕事に必要な「もの・情報」と「成果」が明確に定義できるので、手順をプロセス化することができます。また、RPA、AIなどを利用して自動化しやすいタイプとなります。
(2)パターン化できる仕事
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パターンで分類できる仕事です。ドラッカーは、病院に来る患者の9割は十数種類の病気のどれかであるという例をあげています。つまり、よくある病気への対処方法を決めておけば、ほどんどの患者さんに対応できるということです。パターンにあてはまらない症状の患者さんには、例外として個別対応していきます。
(3)基準・原則で解決する仕事
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パターンも見いだせない仕事の場合、自分自身で基準や原則を立てる必要があります。
ドラッカーは「これぞプロフェッショナルの仕事」といっています。レベルの高い仕事には、基準・原則が必要です。
効果的な意思決定のためには、「意思決定の目的」→「達成すべき目標」→「満足させるべき必要条件」を考えるとよいと述べています。
2.成果をあげるべき人は“エグゼクティブ”
価値が顧客まできちんと届くという成果をあげるために、本当に必要なことは何かを考え抜き、どのように行動するかを決めて、実際に行動していくことがすべての人に求められています。
ドラッカーは、成果をあげるべき責任を持つ人を“エグゼクティブ”と呼びました。現代においては、ほとんどすべてのビジネスパーソンが、ドラッカーのいう“エグゼクティブ”であり、成果をあげる責任を負っていない人など誰もいないのです。
ゲリラ戦では、全員が自分自身の判断で即座に行動することが求められます。一瞬の判断の遅れが命取りになるからです。場合によっては、階級の低い兵士が重要な仕事をしなければならないこともあるでしょう。そこでは、任務達成のために、チームに対してどのように貢献すべきかを自分自身に厳しく問う姿勢が求められます。
ビジネスは戦争とは違いますが、行動への責任があるという点ではゲリラ戦と似ています。各人がきちんと仕事をこなさなければ、組織の目的を達成することができないからです。
組織は、「顧客の創造」という成果の観点に立って、適切にマネジメントされなければなりません。
「ものづくり人のためのドラッカー」は、ドラッカーの14冊の著書から、そのエッセンスをまとめたものです。
皆さま方に何らかのお役立ちができれば有難く存じます。






